〜 タバスコとシナモン 〜

カメラと写真・朽木鴻次郎

アグファの緋(あか)・イゾレッテ I 型

 

 

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アグファ社の中判カメラ:イゾレッテI型 - Agfa Isolette I - 。



ドイツのアグファ社は、19世紀半ばに化学品メーカーとして創業し、写真のフィルムメーカーの巨人となった。80年台の初めから、これまたドイツの巨大化学品・医薬品メーカーであるバイエルの傘下にあったが、今世紀を迎える直前にバイエルはアグファを分離した。

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この建物は、ドイツ・レバクーゼンにあるバイエル本社旧館。


バイエルは、アスピリンの会社ですね。ブンデスリーガの「バイエル・レバークーゼン」のオーナーでもあります。




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レバクーゼンのバイエル社員用宿舎。「カシノ」という名前がついています。とはいえギャンブルはできないですよ。ホテルとちょっとしたレストラン。

 

ぼくはアグファの極東事業再編に少し関わっていました。もう15何年以上も前の話だけれども。

 

アグファを初めて知ったのは、高校の頃、オズの魔法使い、もとい、小津安二郎の映画を名画座に追いかけていた頃、「アグファカラー」と字幕にあって、映画雑誌を見ていたら、小津はアグファを使うという記事を見つけたのが最初だったかな。

 

小津はアグファのフィルムが出す「緋・赤(あか)」に惚れ込んだみたいです。

名前もいいよね。アグファAgfa、いかにもドイツの会社の名前。実は、アグファって、「なんとかって薬品製造株式会社」の頭文字の略称らしいですけど。

BMB(ベーエムベー)とか、BASF(バスフ) と同じ。いずれも頭文字です。

Sd.Kfzなんてのもあるぞ。解説はいらないですね。もちろん戦車、装甲車とかの戦闘車両のこと。読み方は「すだこふつ」......ウソ、「ぞんたー・くらふぉと・ふぁー・つぉいく」でごわす。

 

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同じくレバクーゼンにあるバイエル の1930年代の本社。いかにもドイツです。

 

20世紀の終わりにアグファはバイエルから分離独立、、その際に民生カメラフィルム部門は切り離しました。すごい決断ですね。富士フィルムが写真フィルム部門を切り離しちゃうみたいなものかな。

いや、それ以上だ。

 

切り離されたフィルム部門で働いていた人たちがフィルムの会社を作ったんですが、結局そっちは潰れちゃった。いろいろあったみたいです。ほんと大変だよ、会社も人間も。

ネットで調べたら、存続しているアグファ・ゲバルトはオランダ法人、潰れちゃったフィルム会社のアグファフォトの所在はバイエル傘下のときと同じで、ドイツのレバクーゼン市にだったみたいです。でも、ミュンヘンに工場があったみたい。どっちが本拠なんだろう。南部のミュンヘンと西部のレバクーゼンとでは、全然文化が違うしな。


ケルンの大聖堂から車で20分ぐらい、バイエルの企業都市レバクーゼン、静かなとてもいい街だと思いますよ。何もないけど。

 

アグファコダックも、いまではもう、昔のこと。

 

コダックとか、富士フィルムとか、フィルム屋さんの作るカメラはいいカメラが多いと言われています。いいカメラを安く製造・販売して、フィルムをたくさん使ってもらいたいからなんでしょうね。

 

 アグファのこのカメラ、イゾレッテ。お値段もそこそこで安かったんですよ。人気ないのかな。

 

ケースもついてるのにね。革の速写ケース(ever ready case:いつでもいけるで!ケース)の裏地は嬉しいアカ。首からぶら下げて前蓋を外すと、赤がなんともアクセント。一度は見せたい長襦袢(ナガジバン)!

 

レンズは、アグナー 4.5/85 (Agfa Agnar 1:4,5 / 85mm)

 

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(京都東福寺、フィルムはコダックのエクター100)

 

このカメラは、古いカメラでしかも普及版(お値段が安いもの)なんで、二重露光防止機能なんてシャレたものは付いていないのです。ですから、

 

1. シャッターを切ったら巻き上げておく。
あるいは;
2. シャッターを切る前に巻き上げる。

 

どっちかを自分ルールにして身につけておかないと失敗する。

こんな風に。

 

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巻き上げるのを忘れちゃったんですね。

 

 

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でもね、失敗したのはこの二枚だけですよ。

ほら、これが証拠ヽ(´▽`)/


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(京都御池の桜、フィルムはフジのプロ160)

 

中盤の蛇腹のスプリングカメラは、持ち運びに便利で楽しいですよ。

 

 

 

 

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