銀座には、いい本屋さんが幾つかあったんです。「赤ずきんちゃん、気をつけて」の舞台にもなった旭屋書店。雑誌が充実していましたね。
狭いのかと思うと二階に上がって広くなる教文館。アイドルとか作家とか、サイン会をいっぱいやっていた八丁目の福家書店。ペンは剣よりも強い近藤書店...
そして、洋書ならイエナ書店。ちょっと記憶が不確かですが、イエナは1970年前後ぐらいまでビルの一階にあってショーウィンドーの中の洋書がとってもキレイでハイセンス。その後、近藤書店のビルの上の階に引っ越したと思います。イエナ書店、本屋さんになる前はカメラ屋さんだったんですよ。僕の生まれる前のお話だけど。だから、書店名はツァイス創業の地「イエナ」なのです。
イエナは洋書の老舗でした。独特の匂いがあったな。洋書の匂い。でも、日本橋の僕にとって洋書は「丸善」、なんです。江戸川乱歩の心理試験ですな...... まあ、イエナは洋書は洋書でも絵本や雑誌、映画や女優・俳優関係のハードカバーが充実していた。銀座という土地柄でしょうか....
近藤書店もイエナも、旭屋もなくなっちゃった。いまや丸善も本店は丸の内だってさ。まあ、もう、どうでもいいや。
このカメラ、おもちゃみたいな外観ですが、ちゃんとしたカメラですよヽ(´▽`)/
ちゃちに見えてミニマルな姿がかっこいい。
レンズカバーがフードになるという!
なんかデザインがのっぺりする。ふつう社名とかブランド名とかが入る正面向かって左側ものっぺり。
美人の「め」を貼ってみました。「まさみ」さんですヽ(´▽`)/
...ない方がいいですね。
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このカメラは、旧東ドイツ、イエナのカールツアイスのカメラです。1954年(昭和29年)のもの。朝鮮戦争が終わったばっかりの頃ですね。東側では、党幹部とか一部の人しか所有できなかったんだろうなぁ...
カメラの名前は、「まさみ」ではなくて「Werra」。
女性の名前です。英語で読めば「ウェラ」、ドイツ語だと濁点がついて「ヴェラ」とか「ベラ」って発音になるそうです。妖怪人間かよ! それは、ベラはベラでもスペルが違って「Berra」。
カールツァイスの本拠イエナの近郊を流れる「ヴェラ川(the Werra)」。そこから名前がついたのかな?
ネットで写真を見ました。涼やかな清流かなって思ってたら、どうしてどうして、とうとうとした立派な川です。母なるヴェラ川といったイメージですかな。
それとも、もしかしたらツァイスイコン・イエナの関係者のお母様の名前?恋人とか娘さんの名前かな? 上司に説明するときには「いやいや、ヴェラ川からつけました」って言い訳もできるしね。
カール・ツァイスは財団で、そのカメラは財団麾下の「ツアイス・イコン」が作ってるんですけど、このウェラはツァイス・イコンではなくて、東本家の「カール・ツァイス・イエナ人民公社」が作ってた唯一のカメラだそうです。
なんでなのかな? なんか物語があるのかな?
いろいろと思いが湧いてくるね。空想することは自由で楽しい。
もちろん、写真もきれいに撮れるよ。嬉しいな。
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